新宿区が民泊の原則禁止方針、大阪市は木造アパート開業を制限へ|2026年9月第3週の規制動向
業界動向

新宿区が民泊の原則禁止方針、大阪市は木造アパート開業を制限へ|2026年9月第3週の規制動向

2026年9月上旬から中旬にかけて、東京都特別区や大阪市、地方自治体で民泊・旅館業に関する規制強化の動きが相次いで報じられました。今回は直近1〜2週間の主な動向を、自治体別にまとめてお届けします。

なお、以下で紹介する内容の多くは「方針の公表」や「条例改正案の提出」段階であり、すでに施行された条例ではありません。パブリックコメントや議会審議を経て内容が変わる可能性がある点にご留意ください。

東京都新宿区:住宅地・学校周辺での民泊を原則禁止する方針

新宿区は2026年9月8日の定例記者会見で、住宅宿泊事業(民泊)と旅館業に関する新たなルール案を公表しました。

  • 住居系用途地域(住居専用地域)や学校周辺(文教地区)での民泊の新設を原則禁止とする
  • 家主同居・居住型に限り、春・夏・冬休み期間中の年間120日以内の営業を例外的に認める
  • 商業系用途地域についても、営業可能日数の上限を現行の年間180日から120日へ短縮する
  • 対面でのチェックインと、周辺住民への説明会の実施を義務付ける
  • これらの規制は施行後2年間の経過措置期間を設けたうえで、既存の届出施設にも適用する
  • 旅館業についても、小規模施設の新設禁止、フロント設置と従業員常駐の義務化、対面チェックイン、周辺住民への説明を義務付ける

区内の民泊届出住宅は3,928件(2026年8月31日時点)にのぼり、この規制が適用された場合、約2,000件が営業を継続できなくなる可能性があると報じられています。

今後は2026年10月にパブリックコメントを実施し、2027年2月の区議会定例会へ条例改正案を提出、2027年夏の施行を目指すスケジュールとされています。まだ条例が成立したわけではなく、今後の議会審議で内容が変わる可能性があります。

大阪府大阪市:旅館業条例改正案を9月議会に提出、木造アパートでの開業を原則不可に

大阪市は、2026年5月に特区民泊の新規受付を終了して以降、旅館業法(簡易宿所等)への申請が急増したことを受け、旅館業法施行条例の改正案を2026年9月定例市議会(9月15日〜)に提出する方針を発表しました。可決された場合、10月中の施行を目指すとされています。

主な改正内容は以下の通りです。

  • 他に入居者がいる建物で営業する場合、木造や鉄骨造の長屋・アパート等での新規開業を原則認めず、遮音性の高い鉄筋コンクリート造(RC造)または鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)に限定する
  • 既存施設を含む全旅館業施設を対象に、宿泊客の滞在中は施設内または施設から1km以内の管理事務室に従業員(スタッフ)を常駐させることを義務付ける
  • 事前周知(住民説明会)が必要な施設の対象条件を「33㎡未満」から「200㎡未満」へ拡大し、騒音防止策や緊急時対応の説明を義務化する

背景として、2024〜2025年度に寄せられた特区民泊等の騒音苦情の8割以上が木造・鉄骨造の建物に関するものだったことが挙げられています。また、旅館業法に関する「計画届」の提出件数は、これまで月10〜20件程度だったのが、2026年7月には108件、8月にも約80件と急増したことも報じられています。

東京都世田谷区:条例改正素案の区見解を公表、適正運営事業者には年間180日営業を容認する方向も

世田谷区は2026年9月9日、旅館業法・住宅宿泊事業法に関する条例改正素案について、一部で「規制緩和ではないか」との問い合わせや意見が寄せられたことを受け、区の見解を公表しました。

  • 両条例に共通する内容として、開業にあたっての周辺住民等への事前周知、名称・緊急連絡先を記した標識の掲示、事業者の責任による廃棄物の適正処理、緊急時の駆けつけ要件を追加する
  • 住宅宿泊事業については、家主居住型等で一定の要件を満たし、適正な運営が確認できる事業者に限り、住居専用地域での平日営業を含めた年間180日までの営業を可能とする方針(現在は住居専用地域で土日祝日を除く平日の営業を制限し、条件を満たす場合の申し出による制限解除でも行政指導により年間120日程度にとどめている)
  • 一方、制限解除後に不適正な運営が認められた場合には、解除を取り消す規定を新たに設ける(現在はこの規定がない)

意見募集を2026年9月15日から10月6日まで実施した後、2027年2月の区議会第1回定例会に改正案を提案し、2027年4月の施行を目指すとされています。

兵庫県豊岡市:兵庫県内の自治体として初めて宿泊税の導入方針を決定

豊岡市は2026年9月4日、観光振興・環境整備の財源確保のため、兵庫県内の自治体として初となる宿泊税(法定外目的税)を2028年度以降に導入する方針を固めたと発表しました。

  • 市内のホテル・旅館・民泊などの宿泊客に対し、宿泊料金にかかわらず1人1泊あたり一律200円を徴収する想定
  • 年間約1億8,000万円の税収を見込む(2024年度の延べ宿泊者数約91万人をもとに試算)
  • 2027年3月の市議会に関連条例案を提出する予定

豊岡市は2018年度から宿泊税の検討を進めており、2026年6月に「豊岡市観光自主財源検討委員会」の報告書がまとまったことを受けての方針決定となります。

千葉県船橋市:市議会で違反施設・検討委員会について一般質問

船橋市議会では2026年9月10日の本会議で、建築基準法違反の簡易宿所2施設への対応や「旅館業・民泊のあり方検討委員会」に関する一般質問・答弁が行われました。具体的な条例改正の内容までは、現時点では公表されていません。

まとめ

直近1〜2週間だけでも、新宿区・大阪市という民泊・簡易宿所が集積する大都市で、既存施設も対象に含めた踏み込んだ規制強化の方針が相次いで公表されました。一方で世田谷区のように、適正運営が確認できる事業者には営業日数の緩和を検討する自治体もあり、対応は一様ではありません。また兵庫県豊岡市のように、宿泊税という財源確保の側面から動きが出てきている自治体もあります。

いずれも現時点では「方針の公表」「条例改正案の提出」段階であり、パブリックコメントや議会審議を経て内容が確定するものです。運営中または開業予定の物件がある自治体については、今後の議会審議の動向にも注目しつつ、必ず一次情報をご確認ください。

参考リンク

※本記事は、記事作成時点の情報をもとに編集部が整理したものです。条例等の内容は今後変更される可能性がありますので、運営中または開業予定の物件がある自治体については、必ず上記および各自治体の公式サイトにて最新情報をご確認ください。

民泊運営者

モモチ

「倶楽部 民泊」正会員。ホスピタリティ業界で接客品質の向上に携わった後に独立し、民泊事業と内装デザインを開始。開業1年半で30施設以上を運営・管理し、稼働率80〜90%台・レビュー評価4.9以上を維持しながら、ゲスト体験を軸にした空間設計に定評がある。

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