【2026年9月第5週】民泊・旅館業の規制動向まとめ|京都市がゼロ日規制の素案提示、台東区・大田区も規制強化検討、世田谷区は条件付き緩和案
業界動向

【2026年9月第5週】民泊・旅館業の規制動向まとめ|京都市がゼロ日規制の素案提示、台東区・大田区も規制強化検討、世田谷区は条件付き緩和案

京都市が住宅地の大部分で民泊の営業を事実上禁止する「ゼロ日規制」の素案を示したほか、東京都の台東区・大田区でも住宅地での民泊新規営業を禁止する条例改正を目指す方針が明らかになりました。

一方で世田谷区は、適正な運営が確認できる事業者に限り営業日数の上限を引き上げる条件付き緩和案を公表しています。今回は直近1〜2週間の主な動向を、自治体別にまとめてお届けします。

なお、以下で紹介する内容の多くは「検討会議での素案」「区民意見募集中」「方針表明」段階であり、条例として可決・施行されたものではありません。今後の議会審議等で内容が変わる可能性がある点にご留意ください!

京都市:住居専用地域等で営業日数「0日」とする規制強化策の素案を提示

京都市は2026年8月31日に開催した「京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議」で、地域の実情を踏まえた民泊規制強化策の素案を示しました。

  • 第1種・第2種低層住居専用地域および第1種・第2種中高層住居専用地域(市街化区域の約44%)で、住宅宿泊事業の営業可能日数を「0日」に設定する
  • 幅員4m未満の細街路沿い、学校・保育所・社会教育施設から110m以内の区域、木造密集市街地(21地区)についても0日規制の対象とし、あわせて旅館業(簡易宿所)の建築も制限する
  • 従来認めていた「施設外800m以内・10分駆けつけ」という管理者の施設外常駐特例を廃止し、簡易宿所・民泊の双方に施設内への玄関帳場設置と管理者の常駐を義務付ける(既存事業者には3年間の経過措置)
  • 既に営業している民泊は0日規制の適用対象外とする

市はこの素案をもとに、2027年2月の市議会への条例改正案提出を目指しているとされています。まだ検討会議での素案の段階であり、条例として確定した内容ではありません。

なお、これとは別に、2026年9月17日の京都市会開始本会議では、日本共産党京都市会議員団が独自に「民泊」規制強化のための条例案を議員提案し、平井良人議員(中京区)が提案説明を行いました。これは市(行政)による公式な条例改正案とは別の、会派による議員提案条例であり、その後の可決・否決等の審議結果は確認できていません。

東京都:台東区・大田区が住宅地での民泊新規営業禁止を目指す方針、渋谷区も検討へ

住民からの苦情増加を受け、東京都内の複数の区で民泊規制強化に向けた動きが報じられています。

  • 台東区(上野・浅草等の観光地を抱える)、大田区(羽田空港所在)は、それぞれ住宅地での民泊新規営業を禁止する条例改正を目指す方針であると報じられました
  • 渋谷区は「適正に運営できている事業者は少ない」(区担当者)として、今後規制強化に向けた対応を検討する構えを示しています
  • いずれも現時点では「方針」「検討」段階であり、条例案の提出・可決には至っていません

あわせて、観光庁は今年7月に自治体向けに発出した技術的助言(住宅宿泊事業法上の「ゼロ日規制」を条例により実施できることを明確化する内容)に続き、悪質事業者の取り締まりを支援するため、夜間に住民からの苦情を受け付けるコールセンターを設置し、その情報を新宿区など3自治体に提供する実証事業に乗り出す方針を示しました。

新宿区以外の対象自治体名や具体的な実施時期は明らかにされていません。

世田谷区:条例改正素案に対する区の考えを公表、適正運営事業者には営業日数を緩和する案も

世田谷区は「世田谷区旅館業法施行条例(改正素案)」および「世田谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例(改正素案)」について区の考えをまとめ、2026年9月24日および9月29日に情報を更新しました。区民意見募集は9月15日から10月6日まで実施しています。

規制強化に関する主な検討内容は以下の通りです(一部は既存事業者にも適用予定)。

  • 開業前の周辺住民への事前周知(書面通知・要望に応じた説明会開催)の義務化
  • 苦情・緊急事案発生時に迅速に現地対応する「駆けつけ体制」の義務化
  • 事業系ごみを事業者自らの責任で適正処理する義務の強化
  • 苦情・問合せへの対応内容の記録・3年間保存の義務化
  • 施設名称・緊急連絡先を記載した標識の掲示義務化(旅館業)
  • 玄関帳場またはビデオカメラ等による同等機能を有する設備の設置(旅館業)
  • 宿泊者への地域ルール・注意事項の説明義務化
  • 入浴設備・露天風呂・サウナに関する構造基準の明確化(旅館業)
  • 措置命令等を受けた事業者名の公表の仕組み(検討中)

現在は住居専用地域における平日営業を制限し、事業者からの申出に応じて年間120日程度まで営業を認めている運用について、家主居住型等で一定の要件を満たし適正な運営が確認できる事業者に限り、法令上限である年間180日までの営業を可能とする見直し案も示されています(不適正な運営が認められた場合は制限解除を取り消す)。

区は今後、令和9年(2027年)2月の区議会第1回定例会に改正案を提案し、2027年4月の施行を目指すとしています。現時点では素案・区民意見募集の段階であり、内容は今後変わる可能性があります。

まとめ

直近1〜2週間では、京都市が住居専用地域の大部分を対象に営業日数を「0日」とする素案を示し、東京都内でも台東区・大田区が住宅地での新規営業禁止を目指す方針を固めるなど、規制強化の動きが複数の自治体で並行して進んでいます。

しかしながら、世田谷区のように、適正な運営体制を確認できる事業者に限って営業日数の上限緩和を検討する自治体も出てきており、一律の規制強化ではなく「管理体制に応じた運用の使い分け」を模索する動きも見られます。

いずれの内容も、検討会議での素案・区民意見募集中・方針表明といった段階のものを含みます。運営中または開業予定の物件がある自治体については、今後の議会審議や意見募集の結果にも注目しつつ、必ず一次情報をご確認ください。

参考リンク

※本記事は、記事作成時点の情報をもとに編集部が整理したものです。条例等の内容は今後変更される可能性がありますので、運営中または開業予定の物件がある自治体については、必ず上記および各自治体の公式サイトにて最新情報をご確認ください。

民泊運営者

モモチ

「倶楽部民泊」正会員。ホスピタリティ業界で接客品質の向上に携わった後に独立し、民泊事業と内装デザインを開始。開業1年半で30施設以上を運営・管理し、稼働率80〜90%台・レビュー評価4.9以上を維持しながら、ゲスト体験を軸にした空間設計に定評がある。

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