【2026年10月第1週】民泊・旅館業の規制動向まとめ|大阪市が開業要件を厳格化、新宿区はゼロ日規制案、盛岡市・箱根町で宿泊税導入
業界動向

【2026年10月第1週】民泊・旅館業の規制動向まとめ|大阪市が開業要件を厳格化、新宿区はゼロ日規制案、盛岡市・箱根町で宿泊税導入

大阪市が旅館業法に基づく民泊の開業要件を厳格化する条例案を可決し、10月30日の施行が決まりました。東京都新宿区では住居系用途地域での民泊新設を原則禁止とする規制強化の方針が示され、10月にパブリックコメントが予定されています。また、岩手県盛岡市で宿泊税がスタートしたほか、神奈川県箱根町・大分県でも宿泊税導入に関する動きがありました。今回は直近1〜2週間の主な動向を、自治体別にまとめてお届けします。

大阪市:旅館業の民泊、開業要件を厳格化する条例案を可決(10月30日施行)

大阪市議会は2026年9月30日、旅館業法に基づく民泊の開業ルールを厳格化する改正条例案を全会一致で可決しました。条例は2026年10月30日に施行される予定です。

  • 入居者がいる建物で新たに営業する場合、原則として鉄筋コンクリート(RC)造または鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造であることを条件とする。防音性能が低いとされる木造・鉄骨造のアパートでは、新規開業が事実上難しくなる見通し
  • 宿泊客が施設を利用している間、営業者や従業者が常駐することを義務付け
  • 新規の許可申請では、騒音防止策や緊急時の対応方法を近隣住民に周知することを求める

なお、今回の規制対象は旅館業法上の民泊に限られます。大阪市内では特区民泊の施設数が旅館業施設を大きく上回っており、既存の特区民泊への対応は今後も課題として残るとされています。背景には、2026年6月に特区民泊の新規受付が終了したことがあり、旅館業法に基づく民泊への「抜け道」を防ぐ狙いがあるとされています。

東京都新宿区:住居系地域での民泊新設「原則禁止」の方針、旅館業にも新ルール案(検討段階)

新宿区は2026年9月8日、民泊(住宅宿泊事業)と旅館業の規制強化に向けて条例を改正する方針を発表しました。区が公表している民泊の届出住宅数は、2026年8月末時点で3,928件に上ります。

  • 住居専用地域:現在は月曜正午〜金曜正午の営業が不可(実質週末のみ営業可)というルールを、原則新設禁止に変更
  • 住居地域(第一種・第二種):現在は年間180日まで営業可能(法律上の原則どおり)というルールを、原則新設禁止に変更
  • 商業系用途地域:年間180日までの営業を年間120日までに制限
  • 既存の民泊施設についても、2年間の経過措置を経て新ルールの適用対象とする
  • 対面でのチェックインと、周辺住民を対象とした説明会の実施を義務付け(現行は届出の7日前までに書面で近隣に通知する運用)

旅館業についても、次の4点を盛り込んだ見直し案が示されています。

  • 小規模な施設(おおむね200平方メートル程度が目安とされるが、線引きは検討中)の新設を禁止
  • フロントの設置と従業員の常駐を義務付け
  • 対面でのチェックインを義務付け
  • 周辺住民への説明を義務付け

区長の記者会見では、対象となる用途地域に住居専用地域・住居地域に加えて準工業地域や文教地区も含める考えが示されており、具体的な範囲は今後のパブリックコメントを経て固まる見通しです。想定されているスケジュールは、2026年10月にパブリックコメント(区民意見募集)、2027年2月に区議会へ条例の議案を提出、2027年6月に条例施行、となっています。現時点では検討段階・案の段階であり、条例として確定した内容ではありません。

なお、こうした自治体独自の「ゼロ日規制」等の立地規制については、国土交通省・観光庁・厚生労働省が2026年7月15日付で地方公共団体宛てに「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)」を通知しており、自治体の判断で住宅地等における新規開設禁止や営業日制限、ICTを活用した管理体制の整備(騒音計・出入口カメラの設置等)を条例で義務付けられる旨が明記されています。

宿泊税の動向:盛岡市でスタート、箱根町は条例可決、大分県は導入時期を延期

宿泊税をめぐる動きも複数ありました。

  • 岩手県盛岡市:2026年10月1日、宿泊税の徴収を開始しました。市内のホテル・旅館・民泊などの宿泊客から1人1泊あたり一律200円を徴収し、観光プロモーションや外国人観光客の受け入れ体制強化などの観光促進事業に充てます。宿泊税導入は岩手県内自治体で初めて。対象施設は9月30日時点で計103施設に上り、市は年間の税収額を2億5000万円〜3億円(宿泊者数約128万人)と見込んでいます。東北ではすでに弘前市(2025年12月)、宮城県・仙台市(2026年1月)が導入しており、盛岡市は4自治体目です。
  • 神奈川県箱根町:町議会が使途制限のない「普通税」として、1人1泊あたり350円の宿泊税を導入する条例案を可決しました(2026年10月3日付報道)。総務相の同意を得た上で、2028年4月からの導入を目指すとされています。
  • 大分県:佐藤知事は2026年10月6日の定例記者会見で、県内の旅館・ホテルの宿泊客に課す宿泊税について、導入開始日を2027年6月1日とすると発表しました。当初は2027年1月の導入意向を示していましたが、熊本地震からの復興支援策「九州ふっこう応援割」の事務処理が重なることを考慮し延期したとのことです。課税方式は素泊まり料金に応じた4段階(1人1泊100〜2000円)で、修学旅行等の学校行事での宿泊は免除されます。税収の3割を県が広域の観光振興に、7割を県内市町村への交付に充てる仕組みで、2026年9月30日付で総務相の同意を取得済みです。

東京都・東京23区:宿泊税の定率制移行と、上乗せ条例の全区適用

東京都では、2026年3月27日の都議会で条例改正案が可決され、2026年6月30日付で総務大臣の同意を取得したことにより、2027年4月1日から宿泊税が現行の定額制(1人1泊10,000円以上15,000円未満で100円、15,000円以上で200円)から、宿泊料金の一律3%を課税する定率制に移行することが正式に決まっています。あわせて、課税免除の基準が「1人1泊10,000円未満」から「1人1泊13,000円未満」に引き上げられ、これまで対象外だった簡易宿所や民泊(新法民泊・特区民泊)も新たに課税対象に加わります。東京都の試算では、新制度による年間の宿泊税収は約190億円になる見込みとされています。

民泊の立地規制に関しては、2026年10月6日付の報道により、住宅宿泊事業法の「年間180日ルール」に対する区独自の「上乗せ条例」が東京23区すべてで適用される状況になったことが明らかになりました。

  • 渋谷区:2026年7月1日に住宅宿泊事業条例・旅館業法施行条例の改正が全面施行されました。制限区域を従来の住居専用地域に加え第一種・第二種住居地域および準住居地域まで拡大し、区内住宅地の大半が対象に。家主不在型の年間180日営業は撤廃され、180日営業が可能なのはオーナーが同一建物内・隣接地に居住する家主居住型のみとなりました。この結果、制限区域内の実質営業可能日数は年間約63日となっています。近隣への事前周知も届出予定日の60日前までに前倒しされ、廃棄物処理業者との契約書提出も新たに義務化されました。2026年6月30日までに届出を完了した施設には経過措置が適用されますが、それ以降の新規届出はすべて新ルールの対象です。
  • 墨田区・葛飾区:これまで上乗せ条例を持っていませんでしたが、2026年4月から新条例を施行しました。

これにより、東京23区すべてで住宅宿泊事業法への上乗せ規制が適用される状況となっています。

まとめ

今回の直近1〜2週間では、大阪市が旅館業法に基づく民泊の開業要件厳格化を条例として正式に可決・施行決定した一方、新宿区ではより踏み込んだ「住居系地域での新設原則禁止」という方針がパブリックコメントを前に示されるなど、大都市での規制強化が並行して進んでいます。あわせて、盛岡市で宿泊税の徴収が始まり、箱根町・大分県でも導入に向けた動きが進むなど、宿泊税の全国的な広がりも続いています。東京都内では上乗せ条例が23区すべてに行き渡り、都の宿泊税も2027年4月から定率制に移行することが決まっており、首都圏における規制・課税の両面での強化が一段と進んだ週となりました。

今回ご紹介した内容には、大阪市の条例のように可決・施行が決まったものと、新宿区のようにまだパブリックコメント前の方針段階のものが混在しています。運営中または開業予定の物件がある自治体については、今後の議会審議やパブリックコメントの結果にも注目しつつ、必ず一次情報をご確認ください。

参考リンク

※本記事は、記事作成時点の情報をもとに編集部が整理したものです。条例等の内容は今後変更される可能性がありますので、運営中または開業予定の物件がある自治体については、必ず上記および各自治体の公式サイトにて最新情報をご確認ください。

民泊運営者

モモチ

「倶楽部民泊」正会員。ホスピタリティ業界で接客品質の向上に携わった後に独立し、民泊事業と内装デザインを開始。開業1年半で30施設以上を運営・管理し、稼働率80〜90%台・レビュー評価4.9以上を維持しながら、ゲスト体験を軸にした空間設計に定評がある。

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