
【2026年10月第2週】民泊・旅館業の規制動向まとめ|文京区が民泊規制を区内全域に拡大、箱根町は全国初の「普通税」宿泊税条例を可決
東京都文京区の区議会は2026年10月7日、民泊の営業制限の対象を区内全域に広げる条例改正案を可決しました。台東区では10月1日に改正条例が施行され、目黒区では旅館業法施行条例の改正が可決されています。宿泊税では、盛岡市と那須町が10月1日に課税を開始し、箱根町の町議会は使途を限定しない「法定外普通税」としての宿泊税条例を可決しました。今回は直近1〜2週間の主な動向を、自治体別にまとめてお届けします。
東京都文京区:民泊の営業制限を区内全域へ拡大する条例改正案が可決(2027年1月施行予定)
文京区議会は2026年10月7日の本会議で、議員提出の民泊条例改正案を可決しました。
- 日曜正午〜金曜正午の住宅宿泊事業を制限する区域を、従来の区内約70%から区内全域に拡大する
- 施行は2027年1月の予定
文京区はもともと、住居専用地域・住居地域・準工業地域・文教地区で日曜正午から金曜正午までの営業を制限しており、この制限区域が区内のおよそ70%を占めていました。今回の改正で、制限の及ぶ範囲が区内全域に広がることになります。
東京都台東区:改正民泊条例・旅館業法施行条例が10月1日に施行
台東区では2026年10月1日、改正された住宅宿泊事業条例と旅館業法施行条例が施行されました。
- 民泊条例:10月1日以降に受理された新規の届出住宅は、家主居住型・家主不在型を問わず、区内全域で月曜日正午〜土曜日正午の営業ができない(祝日・年末年始の除外あり)。これまで認められていた、管理者が常駐する場合の制限除外は新規案件では設けられない
- 経過措置:2026年9月30日までに受理された既存施設は、営業できる期間について従前の取扱いが続く。ただし経過措置が及ぶのは営業できる期間に関する部分で、ルール全体が改正前の状態で固定されるわけではないとされている
- 旅館業法施行条例:遵守事項違反に対する指導・勧告・命令、営業者情報等の公表の規定を新設
東京都目黒区:旅館業法施行条例の改正案が可決、宿泊者の滞在中は営業従事者の常駐を義務化
目黒区議会は2026年9月定例会で「目黒区旅館業法施行条例の一部を改正する条例」(議案第56号)を可決しました。可決の事実は、10月7日付で目黒区議会議員のブログ記事として公表されています。
- 宿泊者の滞在中、施設の管理・宿泊者対応・苦情対応ができる営業従事者の常駐を義務付け
- 事前周知に加え、説明会の開催、宿泊者への騒音・ごみ・火災防止等の説明を求める
- 苦情・対応記録の5年間保存、常駐記録、国外事業者等に対する国内代理人、常駐者用の居室・設備などを盛り込む
背景として、フロントも従業員もない一般住宅型の「名ばかりホテル」で、騒音やごみ、緊急時の対応をめぐる区民からの相談があったことが紹介されています。
宿泊税の動向:盛岡市・那須町がスタート、総務大臣同意が相次ぐ、箱根町は条例可決
盛岡市・那須町(2026年10月1日開始)
岩手県盛岡市と栃木県那須町で、2026年10月1日の宿泊分から宿泊税の課税が始まりました。どちらも旅館・ホテルに加え、住宅宿泊事業(民泊)の届出住宅も課税対象で、民泊の運営者は特別徴収義務者として宿泊者から税を預かり、自治体へ申告・納入する必要があります。予約が施行前でも、宿泊日が10月1日以降なら課税されます。
- 盛岡市:宿泊者1人1泊につき一律200円。免税点はなく、修学旅行や未就学児の課税免除も設けていない
- 那須町:素泊まり料金(食事代・消費税等を除く)に応じた6段階(1万円未満100円、1万円以上2万円未満300円、2万円以上3万円未満500円、3万円以上5万円未満800円、5万円以上10万円未満1,500円、10万円以上3,000円)。12歳未満と、学校の修学旅行等の参加者・引率者は免除
盛岡市の民泊運営者は、営業開始前に「宿泊税特別徴収義務者申告書」を提出し、原則として毎月末日までに前月分を申告・納入します。10月宿泊分の最初の期限は11月末です。帳簿は5年間の保存が必要とされています。
総務大臣の同意(2026年9月30日)
総務省は9月30日付で、次の宿泊税について総務大臣の同意を公表しました。
- 大分県:宿泊税の新設
- 和歌山県白浜町:宿泊税の新設(2027年3月1日課税開始予定)
- 鹿児島県鹿児島市:宿泊税の新設
- 鹿児島県指宿市:宿泊税の新設(1人1泊一律200円、2027年4月1日施行予定)
- 長崎県長崎市:税率区分・税額の変更(2027年4月1日から、6,000円未満100円・6,000円以上2万円未満300円・2万円以上500円)
大分県:導入時期を2027年6月1日に延期(10月6日発表)
佐藤知事は10月6日の定例記者会見で、県の宿泊税の導入を2027年6月1日からとすると発表しました。当初は2027年1月の導入意向を示していましたが、政府の観光支援策「九州ふっこう応援割」の精算業務が来年1月に行われるため、宿泊事業者の負担増を考慮したとのことです。課税は素泊まり料金に応じた4段階(1人1泊100〜2,000円)で、修学旅行等の学校行事での宿泊は免除されます。税収のうち徴税経費等を除いた額の3割を県が広域の観光振興に、7割を県内市町村への交付に充てる仕組みです。
神奈川県箱根町:全国初の「法定外普通税」の宿泊税条例を可決(10月2日)
箱根町議会は9月定例会最終日の10月2日、宿泊税条例の制定案を全会一致で可決しました。1人1泊350円で、小学生以下や中学・高校の修学旅行生(引率者含む)などは除外される内容です。これまでに宿泊税を導入した全国の自治体はいずれも使途が限定される「法定外目的税」でしたが、箱根町はごみ処理や消防・救急、道路の維持など幅広い行政需要に充てられる「法定外普通税」として導入する考えを示しています。導入には総務大臣の同意が必要で、条例可決のみでは導入が確定したわけではありません。施行時期は、報道によって「2027年4月1日から」とするものと「2028年4月から」とするものがあり、情報源間で記載が分かれています。
まとめ
今回の直近1〜2週間では、文京区の条例改正案可決、台東区の改正条例施行、目黒区の旅館業法施行条例改正と、東京都内の区で民泊・旅館業への規制が相次いで具体化しました。民泊の営業制限、旅館業の常駐義務化という二方向で、新規参入の条件が引き上げられています。宿泊税でも、盛岡市・那須町が民泊を課税対象として開始したほか、総務大臣の同意が相次ぎ、箱根町では使途を限定しない普通税という新しい形の条例が可決されました。
今回ご紹介した内容には、台東区のように施行済みのもの、文京区のように可決済みで施行前のもの、箱根町のように総務大臣の同意を待つものが混在しています。運営中または開業予定の物件がある自治体については、既存施設への経過措置の有無や適用条件、宿泊税の特別徴収の手続きなどを、必ず各自治体の公式サイトでご確認ください。
参考リンク
- 東京・文京区が民泊規制を強化、対象を区内全域に拡大 来年1月施行へ | チバテレ+プラス
- 台東区の民泊規制【2026年10月改正】平日営業・既存施設・届出日
- 「打つ手なし?」から1年――住宅地の“名ばかりホテル”対策、目黒区の条例改正が実現しました
- 宿泊税の導入について|盛岡市公式ホームページ
- 那須町宿泊税の導入について
- 盛岡市と那須町で10月1日から宿泊税がスタート。民泊も課税対象 - 株式会社ADrim
- 報道資料一覧:2026年9月 - 総務省
- 令和9年3月1日から宿泊税の課税を開始します - 白浜町
- 宿泊税新設にかかる総務大臣の同意について - 企画政策課 - 指宿市
- 税収は年間約8.4億円へ 長崎市の「宿泊税」2027年4月から税率変更
- 大分:宿泊税 来年6月導入 「応援割」事務負担を考慮 知事会見 - 読売新聞
- 箱根町 宿泊税条例が可決 全国初の普通税で運用 | タウンニュース
※本記事は、記事作成時点の情報をもとに編集部が整理したものです。条例等の内容は今後変更される可能性がありますので、運営中または開業予定の物件がある自治体については、必ず上記および各自治体の公式サイトにて最新情報をご確認ください。



